ニットとメリヤスの違いとは?同じものなのか、意味と呼び方を整理

編物

「ニット」と「メリヤス」は何が違うのでしょうか。

セーターを見て「ニット」と呼ぶことはあっても、最近では「メリヤス」という言葉を日常生活で聞く機会はかなり少なくなりました。

しかし、繊維関係の古い資料や工場、会社名などでは「メリヤス」という言葉が残っていることがあります。

結論からいうと、メリヤスとニットをまったく別の生地として考える必要はありません。

どちらも編物に関係する言葉で、日本では古くから「メリヤス」と呼ばれていたものが、現在では「ニット」と呼ばれることが一般的になっています。

この記事では、ニットとメリヤスの意味、なぜ呼び方が変わったのか、さらに混同しやすい「メリヤス編み」「ジャージー」「経編・緯編」との違いまで整理します。

結論|メリヤスとニットは大きく分ければ同じ編物

まず結論から整理します。

言葉 現在の考え方
ニット 編物・編地・編製品を表す現在一般的な呼び方
メリヤス 日本で古くから使われてきた編物の呼び方

日本産業規格のJIS L 0211は、現在「繊維用語-ニット部門」という名称になっています。

この規格では、1986年版まで使われていた「メリヤス部門」という名称を「ニット部門」へ変更した理由について、一般に使用される用語が「メリヤス」から「ニット」へ変遷してきたためと説明しています。

つまり、技術用語としても呼び方が「メリヤス」から「ニット」へ移ってきたことが分かります。

そもそもニットとは

ニットは、糸でループを作り、そのループを連続させることで形成する編物です。

織物とは布の作り方が違います。

種類 基本的な構造
織物 経糸と緯糸を交差させて布を作る
編物(ニット) 糸でループを作り、ループを連続させて布を作る

「ニット」と聞くと、毛糸で編んだセーターを思い浮かべるかもしれません。

しかし、繊維の構造として考える場合、ニットはセーターだけを意味する言葉ではありません。

Tシャツに使われる天竺、スウェット、靴下、スポーツウェアなどにも編物は使われています。

つまり、ニット=厚手のセーターではありません。

メリヤスとは

メリヤスも、日本で編物を表すために使われてきた言葉です。

現在では「ニット」という呼び方が一般的ですが、以前は編地や編製品を「メリヤス」と呼んでいました。

特に肌着や靴下などと結び付いて使われてきた歴史があります。

そのため、現在でも古い資料や業界の名称などで「メリヤス」という言葉を見ることがあります。

「メリヤス」の語源は靴下

メリヤスという言葉は日本語のように見えますが、外来語です。

語源については、ポルトガル語の「meias(メイアス)」またはスペイン語の「medias(メディアス)」に由来するとされています。

どちらも「靴下」を意味する言葉です。

日本には南蛮交易の時代に編物とともに伝わり、やがて靴下だけでなく編物を表す言葉として使われるようになりました。

「莫大小」と書いてメリヤスと読む

メリヤスには「莫大小」という漢字が当てられることがあります。

初めて見ると「なぜこれでメリヤスと読むのか」と思う表記です。

「莫大小」は外来語に漢字を当てたもので、メリヤスの伸縮性から「大小がない」という意味を持たせた当て字と説明されています。

ただし、メリヤスという言葉自体が「莫大小」という漢字から生まれたわけではありません。

先に外来語として「メリヤス」があり、それに漢字が当てられたと考える方が分かりやすいです。

なぜメリヤスからニットへ変わったのか

日本では長く「メリヤス」という言葉が使われていました。

一方で、戦後になると編物の用途は肌着や靴下だけでなく、外衣やさまざまな製品へ広がっていきます。

日本の経編産業についてまとめた繊維機械学会の資料では、昭和30年頃から「ニット」という言葉が使われるようになり、現在ではニットの名称が主流になったと説明されています。

現在のJISでも「メリヤス部門」ではなく「ニット部門」という名称が使われています。

そのため現在は、編物全体を表す場合には「ニット」という言葉を使う方が一般的です。

現在「メリヤス」と言ったら何を指すのか

現在でもメリヤスという言葉が完全になくなったわけではありません。

例えば、

  • 古い繊維関係の資料
  • 企業名や工場名
  • 肌着や靴下に関係する業界
  • 「メリヤス編み」という編み方の名称

などで見ることがあります。

そのため、繊維関係の仕事をしていると「メリヤス」という言葉を知っておく意味はあります。

ただ、現在新しく編物全般を説明するのであれば「ニット」を使う方が自然です。

「メリヤス」と「メリヤス編み」は分けて考える

ここは少し注意が必要です。

「メリヤス」という言葉と「メリヤス編み」は、現在の使われ方が異なります。

メリヤスは歴史的に編物全般を表す言葉として使われてきました。

一方、手編みなどで使われる「メリヤス編み」は、具体的な編み方を表す言葉です。

そのため、

メリヤス=メリヤス編みだけ

と考えるのは正確ではありません。

文章の中で「メリヤス」という言葉が出てきた場合は、編物全般を意味しているのか、特定の編み方を意味しているのかを文脈から確認する必要があります。

「ニット」と「ジャージー」も同じではない

ニットと一緒に出てきやすい言葉に「ジャージー」があります。

ジャージーも編地に関係する言葉ですが、ニットそのものと完全に同じ意味ではありません。

国立科学博物館の技術史資料では、ジャージー(Jersey)について、外衣・外装用の編んだ反物や、その編地からなる製品に関係する呼称として説明されています。

一方、ニットは編物全体を考えるためのより広い言葉です。

日常会話では「ジャージ」という言葉が衣服そのものを指すこともあるため、素材や製法を調べる場合には注意が必要です。

ニットには経編と緯編がある

ニットは、編み方によってさらに分類できます。

大きく分けると、

  • 緯編(よこあみ)
  • 経編(たてあみ)

があります。

緯編には丸編や横編があり、経編にはトリコットやラッシェルなどがあります。

ここを詳しく説明すると「ニットとメリヤスの違い」という本記事の主題から外れるため、経編と緯編の構造や特徴については別の記事で整理しています。

Tシャツもニットなのか

一般的なTシャツには編地が広く使われています。

例えば代表的な天竺は、緯編の基本的な組織の一つです。

そのため、構造から見ればTシャツもニット製品に含まれるものがあります。

普段の会話で「ニットを着る」と言うとセーターを意味することが多いため、ここで言葉のズレが生まれます。

使う場面 「ニット」の意味
日常・ファッション セーターなどのニットウェアを指すことがある
繊維・生地 ループ構造によって作られた編物を広く指す

繊維について調べる場合は、後者の意味で考える必要があります。

ニットとメリヤスの違いを整理すると

項目 ニット メリヤス
基本的な対象 編物 編物
言葉の由来 英語 knit ポルトガル語 meias またはスペイン語 mediasに由来
現在の使用 一般的 以前より少ない
歴史的な印象 現在の標準的な呼称 肌着・靴下などを含む編物の旧来の呼称として使われてきた
JISの名称 「ニット部門」を使用 1986年版までは「メリヤス部門」を使用

つまり、「ニットとメリヤスはどちらが正しいのか」というより、日本で使われる編物の呼び方がメリヤスからニットへ変化してきたと理解するのが分かりやすいです。

繊維を調べるときは「ニット」で考える

古い資料を読む場合、「メリヤス」という言葉を知っていると理解しやすくなります。

一方、現在の繊維製品や編物技術について調べる場合は、「ニット」を基本用語として考える方が情報を整理しやすくなります。

そのうえで、

ニット → 経編・緯編 → 編機 → 編組織 → 糸 → 加工

という順番で見ていくと、その生地がどのように作られているのかを理解しやすくなります。

「ニット」「メリヤス」という名称だけでは、実際の生地の性能までは分かりません。

これは不織布や織物と同じで、最終的には素材、糸、構造、加工などを合わせて見る必要があります。

まとめ

ニットとメリヤスは、まったく別の種類の生地ではありません。

メリヤスは日本で古くから使われてきた編物の呼び方で、現在では「ニット」という名称が一般的になっています。

JISでも、以前の「メリヤス部門」から現在の「ニット部門」へ名称が変更されています。

メリヤスという言葉の語源は、靴下を意味するポルトガル語「meias」またはスペイン語「medias」に由来するとされています。

古い資料で「メリヤス」という言葉が出てきたら、まずは現在の「ニット・編物」に近い意味として考えると分かりやすいです。

ただし、「メリヤス編み」のように特定の編み方を指す場合もあるため、使われている文脈は確認する必要があります。

参考資料

※「メリヤス」は時代、業界、文脈によって指す範囲が異なる場合があります。本記事では、現在のニットとの関係を理解するために、日本の繊維産業で使われてきた呼称として整理しています。

コメント